act1
『出動せよ!出動せよ!』
無線が騒がしい。
続々と武装した者達が出て行く。
S.T.A.R.S.
警察の管轄下にある特殊部隊。
元はアンブレラが中心となった民間企業の特殊部隊というイメージが強かったが、そのアンブレラはラクーンシティの事件がきっかけで生物兵器使用等の限りない罪で、企業の跡形も残さず解体された。
そのため今のS.T.A.R.S.は警察でもあり軍隊でもあるような存在とされている。
『フロリダのメジ博物館が化け物に襲撃されている。S.T.A.R.S.兵は直ちに現場に急行せよ!』
無線が騒がしい。
「行こうぜ!」
「ああ。しかし化け物だなんて・・・ラウーンシティのゾンビの生き残りか?」
「まさか、ハハハ・・・。」
妙な事件に、兵は疑問を持ちつつも次々と出動していく。
この事件が後に、忘れられないほどの傷跡の幕切れになることとなるが、おそらく誰もそんな事は思わないだろう・・・。
そんな2005年春・・・
ある部屋の1室で電話がなる。
とても整頓された部屋で、女性のものであるようだ。
「はい、ジルです。」
電話の受け取り主はジル・バレンタイン。
デルタフォースの訓練などを経てラクーンシティの事件で目まぐるしい活躍をした。
他にも彼女の功績は非常に輝かしく、今ではS.T.A.R.S.の大将の位置にまでいる。
大将の上には元帥、つまり総大将しかおらず、ジルは組織の中で2番目の地位にまで上り詰めた。
電話の相手は総大将だった。
総大将「ジル、メジ博物館が化け物の襲撃を受けているが兵は苦戦している。君の力が必要だ、現場で指揮を頼む。」
ジル「化け物、ですか?。」
総大将「ラクーンシティのゾンビじゃないかと言われている。」
ジル「そんな、全滅したはずじゃ・・・とにかく、現場に行きます!」
電話をきるとすぐさまハイヒールを脱ぎブーツに履き替え、ハンドガンやホルダーなどを取り部屋をあとにした。
3時間後・・・
ジルは現場につき博物館の正面のドアを突っ切った。
中では兵や警察がすでに格闘している。
「あ・・・ジ、ジル大将!」
しかし言葉に振り向く間もなく、ジルはハンドガンを取り出し発砲していく。
「オ、女ァ、喰ッテヤラァ〜〜〜!」
ジル(何!?この異常なまでの狂気は・・・!?)
ハンドガンの引き金は引かれるばかりだ。
「大将、すみません。」
ジル「奴らの頭を狙えばいいのよ。状況は?って聞くまでもないわね・・・。」
「・・・あれはラクーンシティのゾンビですよね?なぜ今になって・・・。」
ジル「違うわ。」
「え・・・!」
ジル「私も最初はそうだと思った、けど・・・喋ったわ・・・!」
すべてを倒し、場内は静まった。
ジルは事情を聞いた。
「トラックから先ほどのゾンビ達が・・・。」
ジル「トラックから?・・・誰かが操ってるの・・・!?」
その時
「大将!すぐ屋上に来てください!」
屋上
「お、お前ら・・・こんな作戦が許されるとでも思っているのか!?」
ジル直属の兵と、同じS.T.A.R.S.の別の部隊が口論をしている。
「建物の屋上に爆弾なんて・・・何のつもりだ!」
別の部隊「見ての通り、屋上でゾンビを一掃しただけさ。」
「建物が崩れたらどうするつもりなんだ。それに、お前達が助けた少年に危害が加わったら・・・。」
少年「心配はいらない。」
「え・・・君は一体・・・?」
別の部隊「口を慎みたまえ、我々の大将だぞ!」
「・・・S.T.A.R.S.の大将!?」
白いセーターが似合う女の子の様な美顔の少年。
まだ20歳前後と見られるが・・・。
少年「まあまあ、権力を振りまきたくはないからさ。」
別の部隊「ははっ。」
少年「・・・ヨウジ・グリフィーヌ、よろしく。」
「・・・グ、グリフィーヌ、大将・・・!?」
ヨウジ・グリフィーヌ
最近S.T.A.R.S.で名を轟かしている大将クラスの人間だ。
数ヶ月前におきた一大クーデターを数時間で鎮圧し、軍内で一気に話題となった。
「・・・あのクーデターを鎮めたのが・・・!」
別の部隊「そう、我々だ。お前達との格の差の違いがわかったか?」
「な、格の違いだと!?」
そこへ、ジルが駆けつけた。
「あ、大将!」
ジル「何・・・何がおきたの!?」
「それが、妙なことになりまして・・・。」
別の部隊「せいぜい腕を磨いておくんだな。同じS.T.A.R.S.の恥になるなよ。」
「・・・言いたい放題言いやがって・・・。」
ヨウジ「あ・・・!」
別の部隊「・・・大将、どうかなさいましたか?」
しかし、すぐ目の色を変えたかと思うと・・・
「な、何をする!」
銃をジルの兵に向け・・・
ジル「ちょっと!」
・・・発砲・・・
「・・・。」
うめき声がした。
実は兵の後ろで起き上がった敵を狙ったのだ。
「・・・ど、どうも・・・。」
ヨウジ「爆弾に耐えるゾンビがいるとは・・・。」
ジル「いいえ、あれはゾンビじゃないわ!」
ヨウジ「喋るもんね、あいつら。」
ジル「え・・・。」
ジルの顔を見ると、ヨウジは先程の驚きの顔色に。
ジル「・・・私の顔に、何かついてる?」
ヨウジ「・・・まさか・・・こんな形で会うとは、ジル大将・・・。」
ジル「・・・どういうこと?」
ヨウジ「・・・失礼、任務中なので。」
一目散に走り去った。
ジル「どうしたのかしら、あの子・・・。」
「きっとジル大将のファンか何かじゃないですか?」
別の部隊「おい、口を慎めと言ったはずだ。」
「へ〜いへい。」
部下達もヨウジの後を追った。
最後までジルの部隊を敵視する目は変わらずに。
「グリフィーヌ大将か・・・まるで、ジル大将に会った事あるみたいな言い草でしたね。同じS.T.A.R.S.だから不思議じゃないでしょうが。」
ジル「ええ・・・あ、こんなところで考えてる場合じゃない、すぐに後始末を。」
「了解。」
ヨウジ・グリフィーヌ・・・一体彼は・・・。
基地へ引き上げた後、ジルはパソコンに向かった。
調べているものは、あの少年・・・。
「大将、シンディ少将がお見えです。」
ジル「通して。」
「はい。」
シンディ「メジ博物館での鎮圧、お疲れ様でした。」
部下として配属されているシンディだが、秘書のような存在となっている。
シンディ「今回のような戦いができるあたり、さすが大将といったところですね。」
ジル「ありがとう。あなたには期待してるわ。」
シンディ「全力を尽くします。」
退室
ジル(さっき調べたのよね。シンディ・・・ラクーンシティのバーの店員出身、か・・・今のS.T.A.R.S.、強者が多いわよねぇ。)
しかし、やはり気になっていたのはヨウジの方・・・。
ジル(・・・。)
3日後、S.T.A.R.S.の通信網にニュースが入ってきた。
“ヨウジ・グリフィーヌ軍、フロリダにおいてadamに発せられたvenus軍のスパイ捕獲”
adamとvenusは現在、最も対立の激しい国際規模の民間企業。
先日メジ博物館を襲ったのも、どちらかが生み出した生物兵器じゃないかと言われている。
そうなると、ラクーンシティの悲劇の繰り返しになるのか・・・。
「シンディ、俺思うんだけどよ・・・ジル大将、ヨウジとかいう奴に惚れたんじゃねえのか?」
この男はケビン少将。
ラクーン市警だったが街が消えたため、S.T.A.R.S.に転属した。
シンディもそうだが、ラクーンシティの生き残りがS.T.A.R.S.に来た例は下級にも少なくはない。
ラクーンの悲劇を二度と起こしたくないというのが大きな理由のようだ。
シンディ「馬鹿な事言わないの!」
ケビン「ハハ、冗談だ。しかし最近やべえな、adamとvenusの喧嘩はよ。」
シンディ「うん・・・国じゃないから宣戦布告のタイミングも分からないし。」
ケビン「実はもう、お互い暗黙の了解で戦争してるんじゃないのか?」
シンディ「まだ私設軍隊自体が動いたわけじゃないから大丈夫だとは思うけど・・・。」
adamとvenus、そしてラクーンの悲劇の主役に似た謎の怪物達・・・。
混沌に向かっているのは確実のようだ。
♪作者後書き♪
今回はジルを主人公として、OBのケビンとシンディ、オリジナルキャラまで出してしまいました。
さらには巨大企業adamとvenusなんてのも出現させてみました。
ラクーンシティ消滅後を舞台に、自分オリジナルのストーリーを考えてつくっていきます。(2005/10/01)