第5章
ケインとマイクは歩きながらM4A1を構え前へと進み後ろでロンは愛用のナイフで遊んでいた。
2人の調査員は相変わらず熱そうな白い防護服を着ておりノートPCで何かを入力しながら歩いていた。
ひんやりと冷たい空気がケインの頭を冷やしより一層冷静感を高まらせ3人は厳重に管理されたドアを見つけ足を止める。
「ここだな。動力室は」
「・・・・ロックが掛かってるな」
「私にかませてください」
ドアの横の端末を見て困り果てていたケインに後ろにいた調査員の1人が前へと出て端末の前に立つとノートPCから目の前にある端末にアクセスし解除コードを入力していく。
しばらくするとドアの端末から低い電子音が鳴りそれと同時にドアが開く。
開いたドアの奥からは機械の作動音が聞こえオイルの匂いが先頭にいたケインの鼻を刺激する。
ゆっくりとケインがM4A1を構えて中に入り左右へと銃を向け誰もいないことを確認するとゆっくりと銃を下ろした。
動力室内にある動力タンクの前まで歩くとケインは無線を取り出しヘンリーに連絡をはじめる。
「こちら、E分隊のケインだ。動力室に到着した」
無線でヘンリーに連絡を取るケインだが普通ならかえってくるヘンリーの声はなく無音のままだった。
「こちらE分隊!ヘンリー小隊長」
〜1階 図書室〜
『こちらE分隊のケインだ。動力室に到着した』
胸のポケットに入っている無線機からケインの声が流れるがヘンリーは無線を取ろうとはしなかった。
辺りは血の海となりUBCS隊員たちが体をバラバラに引き裂かれ倒れており防護服を着た調査員も同じように倒れている。
『こちらE分隊!ヘンリー小隊長』
ヘンリーは左手で血が流れる腹部を押さえ無線機から流れる声を無視しながらゆっくりとホルスターに手を伸ばした。
ホルスターから出したSIG PROをゆっくりと目の前に立ちはだかる化け物に向け照準を合わせる。
次の瞬間、トリガーが引かれたSIG PROから9mm弾が放たれ一直線に化け物の胸に突き刺さった。
だが、化け物は怯むことなく目の前に立ちはだかっている。
「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
立て続けに連続してトリガー引かれ何度も弾丸は放たれ化け物の体に命中するがそれでもなお化け物は目の前に立ちはだかり右わき腹に形成された巨大な目はじっとヘンリーを見つめていた。
スライドが後退したまま停止し弾丸が尽きたことを知らせるとヘンリーは脱力しSIG PROが手から離れ地面に落ちる。
次の瞬間、化け物の手に生えている長い爪が彼を襲った。
目の前の獲物を狩った化け物は次の獲物を狩るために猛スピードでドアを突き破り獲物の匂いがする方向へと走っていった。
無線の向こうから聞こえる銃声に驚いたケインは無線機を落とす。
それを聞いていたマイクとロン、調査員も唖然とした様子であった。
「ど、どうしたんだ?」
「駄目だ。他の部隊も連絡が取れない」
自分が持つ無線機を使って連絡を取っていたロンが呟く。
「仕方ない。早いところ自爆装置を作動させてエリックたちと合流しよう」
ケインが冷静に次の指示を出すと調査員は動力盤の前に立つと装置作動の準備をはじめケインたちは周囲を警戒しつつ調査員を見守った。
〜22:58 薬品保管庫〜
ジョニーは薬品保管庫でカプセルケースに入ったG−ウイルスを手に取って見つめていた。
「・・・・さすがに間近で見てみると恐ろしいな。取り扱いには注意しねえと」
ジョニーはGウイルスを胸ポケットに仕舞うと試験管とレポート用紙が置かれた机の上からジョセフ・パークの研究資料を手に取る。
「ちょろいもんだぜ」
呟きながらドアを開けようとドアノブを握ろうとするが停止し耳を済ませる。
動きを停止させたジョニーがそっとドアに耳を当てると金属を通り越して聞こえる唸り声がジョニーの鼓膜を刺激する。
驚いたジョニーは資料を床に落とすとすぐさまM4A1を構えた。
何度かドアに衝撃が走りジョニーはセフティを解除しドアに向かって構えた。
次の瞬間、勢いよくドアが開くとそこから白衣を着た人間たちが入り込んできた。
いや、彼らはすでに人間ではない。
それは彼らを見たジョニーにも理解できた。どれもこれも皮膚が腐り落ち刺激臭を放っており唸りを上げ目の前に見える‘エサ’を求め欲をだす。
そして、複数の銃声が鳴り響いた。
「なんだ!?」
突如、響き渡った自動小銃の銃声がケインたちの耳に伝わり驚いたマイクが声を上げる。
それと同時に動力盤の前で自爆装置を作動させようと調査員の作業も終わりを迎えようとしていた。
制御盤で操作をしている作業員とその後ろでノートPCでコードを入力し続ける調査員が連携し最後の操作とコードが同時に入力させ動力タンクが甲高い音を立てフル稼働すると同時にアナウンスが流れた。
『自爆装置が作動しました。繰り返します。自爆装置が作動しました。研究員ならびにスタッフはマニュアルどおりに避難を開始ください。爆発まであと20分です』
アナウンスを聞いていたケインはスリリングでM4A1を肩にかけると叫びながら調査員を呼びつけ慌てながらも調査員たちは撤収の用意を始める。
鳴り響いていた自動小銃の銃声はすでになくケインは銃声の元である人物の安否を心配しながらもすでに準備が出来た調査員を引き連れドアを開ける。
が目の前に広がった人の群れに躊躇し再びドアを閉めドアノブ側の壁にへばり付きスリリングでぶら下がっているM4A1に手を伸ばすとマガジンを外し残弾を確認すると再びマガジンをセットしセフティを解除する。
同じ動作を向こう側の壁近くで行っていたマイクが声を出してケインに聞く。
「数は何人いた?」
「ざっと、30だ」
「行けるかな?」
「わからん。だが、全部倒す必要はない。突破すればいい」
「なるほど、安心した!」
叫ぶと同時にマイクは勢いよくドアを開け手に握っていたM67手榴弾のピンを抜くと目の前にいる白衣を着た不振人物の群れに向けて投げつけると再び隠れた。
一定の放物線を描いて手榴弾は宙に浮きしばらくすると地面に落ち彼らの足元に転がった。
次の瞬間、爆発音と共に爆風が開いたドアを通り抜け硝煙の匂いが広がる。
「いくぞ!」
ケインは叫ぶと同時にドアの外に出ると先ほどの爆発に巻き込まれて倒れている数名の白衣の男を乗り越え次の集団が迫ってきていた。
すかさず、M4A1を構えてトリガーを引き続け5.56弾が彼らを襲う。
体を撃たれ倒れた白衣の男は何度か痙攣すると再び立ち上がり唸りを上げ迫ってくる。
「まるでゾンビだな」
マイクが毒づくように言葉を発し白衣の男たち(ゾンビ)に弾丸を食らわせていく。
食らった銃弾で倒れていくゾンビの間をすり抜けケインたちは全力疾走をしながら警備室の前まで行くと勢いよくドアを開けた。
「エリック!ジョニー!」
ケインが叫ぶが中にいるはずの2人の存在はなく警備服を着た男が同じ場所で死んでいるだけだった。
「時間がないぞ!」
「・・・・・・・」
2人の安否を気にする暇もなく諦めたケインはドアを閉め研究所の自動ドアを潜り動き回っているゾンビたちを避けつつエスカレーターを駆け上がる。
常に冷静を保ってきたケインだがさすがこの状況では焦りと恐怖が上がりスタミナの消費を激しくする。
額から流れる汗を拭う暇もなく目の前に続く暗い階段を駆け上がると出口から光が漏れケインの顔を照らす。
階段の出口に出ると息を整えることなく最後に出てきた調査員がドアを閉めようとコードを入力しようとドアの横の端末に触れた瞬間、階段から複数の足音が聞こえケインとマイクは階段に向かってM4A1を向ける。
だが、そこから出てきたのはケインたちと同じように息が上がったエリックとジョニーだった。
「エリック!ジョニー!」
「間に合ったか・・・・」
「どこいってたんだ?」
「ちょっとな」
ジョニーが最後の段を登り会議室の床に足を付いた瞬間、ロックコードが入力されたドアはゆっくりと閉まり金属が擦れ合う音を出しながらレールを移動しドアが完全に閉まると電子音が鳴りドアがロックされる。
『爆発まであと10分です。速やかに退避してください』
アナウンスの声を聞いたエリックはすばやく会議室から廊下へと出るドアの前に立つとドアノブを握りながら叫んだ。
「急ぐぞ!」
その声に合わせてケインとマイク、ジョニーと2人の調査員は急いで外へと出た。
通路に出ると小さいが爆発音が聞こえ床が小さく揺れる。
それと同時に窓の外が一瞬だけ暗くなり何かしらの気配を感じ始める。
だが、それを気にもとめずエリックは小走りで廊下を駆け抜けて行きケインたちも彼の後に続こうとする。
最後尾にいた調査員が走ろうとした瞬間、彼の後方右側にあった窓が割れる。
振り向いた調査員がそこで見たものは長い爪が生え爪が生えた右肩には奇妙な目が構成され腹部にも同じ巨大な目がじっと調査員を見つめていた。
窓のガラスが割れた音に気づいたほかのメンバーが唖然として調査員の前に立ちはだかっている化け物を見つめていた。
「逃げろ!」
誰よりも先に声をあげていったのは通信担当のロンだった。
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だが、調査員は震えながら立ち尽くしそして、化け物は巨大な爪を横に振るうと壁に傷をつけながらも調査員の体を切り裂いた。
大量の血を傷口から噴出しながら調査員は床へと倒れこみ化け物は返り血を浴びて赤く染まる。
(あれがジョセフ・パーク博士の日記に書かれていたG−0135か!)
化け物の体の特徴と日記に書かれていた内容を照らし合わせた結果ケインは目の前に立っている化け物が開発された生物兵器G−0135だと確信する。
G−0135は続いて1人目の調査員の後ろにいた2人目の調査員に狙いをつけると長い爪を振り上げて一気に振り下ろした。
振り下ろされた爪が2人目の調査員の体を切断し調査員の体は3つのパーツに分かれ倒れた。
G−0135の右腕の目が先ほどまで生きていた調査員から今度はその後ろにいたロンに目を向け睨まれたロンはM4A1を構え叫んだ。
「先に行ってくだっさい!ある程度時間を稼いだら私も後から追います」
「駄目だ!援護するからお前が先に逃げろ!」
ロンのいった言葉にすぐさま反論したケインはM4A1を構えてセフティを解除しトリガーを引いた。が、弾丸は放たれることはなくケインは急いでマガジンを取り出すと予備マガジンをタクティカルベストのポーチから取り出しセットしようとするが焦りすぎてマガジンを地面へと落としてしまう。
「先に行ってください!」
ケインの行動を見ていたロンが再度叫ぶ。
マガジンを拾いセットしたケインは数秒間ロンの背中を見つめるとM4A1を構えながらゆっくりと後ろ歩きで後退していく。
その後方で固まってG−0135に銃を向けていたエリックたちもゆっくりと後退していき彼らの姿は暗闇の中に消えた。
じっとこちらを見つめているG−0135に対しロンはゆっくりとトリガーに指をあて引いた。
連続して放たれる5.56弾はG−0135の腹部や胸にに命中するがG−0135は怯むことなく立ち続けダメージを受けているのか不振に思いながらもロンはずっとトリガーを引き続けていた。
やがてマガジン内に入っていた弾丸がなくなるとG−0135は首をかしげながらゆっくりと前へと進みだした。
慌ててマガジンを抜き取りポーチからマガジンを取り出しセットしようとするが予想以上にG−0135の一歩が大きすぎてGとの距離がほとんどなくGは爪を振り上げると一気に振り下ろしてきた。
ロンはM4A1を掲げるようにしてあげるとG−1035の攻撃を防御しようとしたがあまりにも鋭い爪の攻撃によりM4A1は切断され爪の先がロンの額をかする。
とっさにバックステップでG−0135との距離をとったロンだが主力武器のM4A1は真っ二つにされてしまい見るも無残にされたM4A1を投げ捨てる。
それと同時に額に痛みが走り額から一筋の血が流れる。
G−0135を睨みつけながらロンはタクィカルベストにつけられたナイフポーチからコンバットナイフを取り出すとナイフを逆手に握り構えた。
ものすごい勢いで走ってきたG−0135は長い爪をロンに向けて突き刺そうとするが体を横にそらしながらG−0135の攻撃をかわすと逆さずがら空きになっている腹に向けて蹴りを食らわすとGはヨロヨロと2、3歩後ろへと下がる。
今の技は少林寺拳法の技で彼が中国で取得してきたものの一つである流水蹴りをつかったのだ。
そして、よろめいたG−0135に対し逆手にとって握っていたコンバットナイフをG−0135に構成された右肩の目に向けて突き立てる。
突き立てると同時に傷口から血液が噴出し痛みを感じているのかG−0135は暴れだし小さな爪が生えている左腕をロンのわき腹に向けて振るうとGの手の平がロンのわき腹にめり込み左側の肋骨が折れる。
「グワッ!」
激しい痛みを感じたロンは突き刺さったコンバットナイフを抜くことなくしゃがみこむと左わき腹を抑える。
G−0135の右腹部に構成された目がぎょろっとロンを睨むとG−0135は右腕の長い爪を振り上げロンに向けて振り下ろした。
風を切る音が聞こえると同時にロンは胸に走る痛みをこらえながら右へと転がるとすばやく立ち上がるが再び胸の痛みが走ると咳き込みながら膝をつく。
咳をしたために口を押さえた手の平を見てみると真っ赤な血が手にはめていたコンバットグローブに付着していた。
そして、再び咳き込み始めるとそれは止まらなかった。
G−0135はロンの前に立つとGは今度こそ目の前にいる獲物をしとめるためありったけの力を右腕に入れた。
力を入れられた右腕の目に刺さったコンバットナイフは抜け落ちロンが見つめている床に落ちる。
G−0135は力を入れたまま腕を振り上げると一気に振り下ろした。