第4章
1発の銃声が暗い通路で響き渡り回転しながらM4A1から出た5.56弾の薬莢が 床へと落下し音を立て地面で弾けると同時に脊髄を撃ち抜かれた男は地面へと崩れ るように倒れ痙攣したまま動かなくなり床には血だまりが広がった。
「やったのか?」
後退していたケインたちが恐る恐るエリックの目の前で倒れている男に近づきケインは男の前でしゃがみこむと生死を確認するため手首を持ち上げるが一定のところまで持ち上げると腕が関節部分から根こそぎ取れ驚いたケインは男の腕をほうり投げると同時に悪臭が広がり先ほど漂っていた匂いがこの男だと分かり立ち上がる。
「こいつ何者なんだ?」
「あんなに銃弾を食らっているのにも関わらず生きている人間なんて初めてだ」
エリックが動揺した素振りで手のひらを触りその手はかすかだが震えていた。
後ろから割り込むように体を捻らせたジョニーが前にいたケインとエリックの間を抜け男の死体の前でしゃがみこむと顰めた顔でその死体を覗き込むように見て立ち上がり口を開けた。
「せいぜい死後10日以上たっている感じだな」
「でも、こいつは動いていたぞ」
「何かの病気かなにかじゃないですか?」
「そういえば・・・」
マイクは思い出したかのように呟き森で見た犬たちの姿を思い出す。
白く淀んだ瞳の奥に隠し持つ凶暴性、その出向いた白い牙は赤に染まり人の血を啜り歓喜の叫びを上げ仲間と獲物を狩る姿・・・・・
そして、彼らは腐敗しているようだった。
とりあえず、このことを話そうとマイクは声を上げる。
「こいつと同じような状態の犬に俺たちは襲われたんだ」
「・・・そうなのか?」
エリックは自分の隣にいたケインにその疑問を投げかけるとケインは静かにうなずくとゆっくりと口を開け話しをはじめる。
「俺たちC小隊は森の捜索をしていたんだ。そのときいた人数は15名くらい。体中が腐敗したドーベルマンの群れに襲われて俺とマイクを除いて全滅した」
ケインの言葉に全員が男の死体をじっと見つめたまま沈黙が続きそれを見たジョニーがM4A1のマガジンを抜き取り予備のマガジンをパウチから取り出すとセットし弾丸を装填すると数歩歩くと後ろに振り向き言った。
「犬が来ようと腐敗野郎が来ようと俺には関係ない。早いとこ仕事を済ませようぜ」
そう言うとジョニーは1人歩き出すと先へと進みケインはエリックと顔を見合わせると空になったマガジンを抜き取り地面に捨てると予備のマガジンを取り出すとセットし歩き出した。
他のものも無言のままただ歩き出した。
〜21:20 1F会議室〜
ケインたちは会議室の中に入るとホワイトボードの前に置かれた映写機と細長い机と椅子が並ぶ室内を調査していた。
机には大量のレポート用紙が散乱し何かを飲んだ形跡がある紙コップにタバコの吸殻が入った鉄製の灰皿、見たところ何時間か前には誰かがいたようだ。
「これってなんの絵だ?」
「さあ・・・」
ジョニーとマイクがお互いに顔を見合わせた後、壁にかけられた一枚の絵を見る。
よく見ると絵が少し傾いているのに気づいたマイクが位置を直そうと絵が入った額縁を動かそうと手をかけた瞬間、絵を止めてあった金具がはずれ絵は地面へと落下する。
「あちゃ〜」
マイクが慌てて絵を拾い上げようとするがジョニーがそれを静止させマイクはおろしかけた腰を上げあるものを見る。
それは絵が外れたところに小さなボタンが埋められておりそれを今まで絵が隠していたのである。
ジョニーはゆっくりと手を伸ばしそのボタンを押すとホワイトボードがある場所の反対側の壁が突然開くとそこから頑丈そうな鉄製のドアが出現したのである。
突然出現したドアにケインとエリックが歩み寄るとドアの横にある端末とカードリーダーを見て笑みを浮かべ言った。
「見つけたぜ」
〜21:25 1F資料室〜
調査員の護衛のため椅子に座りながら待機していたヘンリーは口に銜えている葉巻の灰を机の上に置いてある灰皿に灰を落とすと同時に持っている無線機に通信が入ったのを知らせる電子音が鳴り響くと葉巻を灰皿に置き椅子から立ち上がると無線機を手に取り耳に当てた。
『ヘンリー小隊長、E分隊のエリックです』
「どうした?何か見つけたのか?」
『研究所の入り口を見つけました。調査員を派遣してください。内部に侵入して自爆装置を作動させます』
「お〜!でかしたぞ!すぐに調査員を派遣する。君たちはそこで待機していろ」
『了解』
研究所の入り口が出現した会議室で待機していたケインたちの前に白い防護服を来た調査員が現れすぐさまドアの横に設置されてある端末に近づくとロック解除コードを入力し始める。
8桁の番号を入力し最後のカードリーダーにアンブレラのマークが描かれたラボカードを通すときしんだ音と共に鉄のドアが開く。
完全に開いたドアの先は白い通路が続いておりひらけた場所にはエスカレーターが設置されているのが見えた。
「行こうか」
エリックの言葉に5人は調査員と共に前へと進む。
調査員が持っているノート型PCには研究所の見取り図らしきものが映し出され無人で動いているエスカレーターに乗り込むとゆっくりと下へと降りていく。
動いているエスカレーターからケインは目の前に広がる光景に息を呑む。
目の前にはガラスの自動ドアがありその向こうには夥しい量の死体が転がっていた。
エリックはゆっくりと手を伸ばし自動ドアを触ろうとするがセンサーが反応しドアが開く。
そのまま肩からスリングで吊るしてあるM4A1に手をかけるとそのまま構え足を上げできるだけ死体を踏まないように慎重に前へと進む。
ケインたちはお互いに離れ散開するとM4A1を構え徐々に広がりながら辺りを捜索する。
調査員の1人が白衣を着て俯けになっている死体を転がし仰向けにさせると胸のアンブレラIDカードを見て確信すると声を出した。
「やはりここの研究員か・・・・」
「こっちもそうだ。全員死んでるよ」
離れた場所からIDカードを掲げた別の調査員が見えるようにカードを見せる。
エリックは死体がないドアの前に来るとロンとマイクよ手で招き2人は走りながら彼の元へと来る。
合図をしロンがドアノブを握りゆっくりと回し一気に手前に引くとドアが開きマイクとエリックが中へと突入する。
中には無数の画面に机の上に置かれたリボルバー拳銃、M36.38SPLとそれ専用の弾丸38SPL弾が置かれそのすぐそばには青い制服を着た男性が手にM36.38SPLを握り頭から血を流し倒れていた。
すぐさま、ロンは銃を握っている反対の手首を持ち脈を図ろうとするが脈が動いていないことが分かると静かに腕を置いた。
エリックはかなりの数の画面と男の着ている服を見てここが警備室だと悟った。
遅れて入ってきたケインとジョニーそして、2人の調査員が入ってくる。
調査員の1人が画面の前にある椅子に座ると設置されているPCを起動させキーボードに何かを入力し始める。
しばらくキーボードに文字を打つ音だけが響きしばらくすると主モニターに研究所の見取り図が出てくる。
「今いるのが1階警備室で自爆装置があるのがこの先の動力室です」
「結構狭いんだな」
話をしていた調査員の後ろでモニターを見ていたジョニーが呟く。
「ここの研究所はもともと資材や資料を保管するために作ったためあまり広くは出来ていません。動力室もすぐに到着できますよ」
「よし、俺とジョニーはここに残ろう。ケインとマイク、ロンは2人の調査員を連れて動力室に向かえ」
エリックがM4A1を机の上に置きながら言うと胸ポケットからタバコの箱を取り出し一本のタバコを口に銜えるとポケットを探りながらライターを取り出しそれに火をつけた。
ケインは軽くうなずくとマイクとロン、2人の調査員を連れて外に出た。
「さて、ジョニー。お前には別の仕事をしてほしいのだが」
「なんだ?」
「資料だ。ここで研究していたジョセフ・パーク博士の研究資料とG−ウイルスの回収だ」
「G−ウイルス?」
「会社の持ち物だ。貴重なので回収する」
「どこにあるんだ?その資料とウイルス」
ジョニーの質問に対しエリックはタバコを吸い肺にためた煙を口から吐き出すと続けて答えた。
「保管庫だ。資料もウイルスもそこにある」
ジョニーは笑みを浮かべながらうなずくとエリックの肩を軽く叩きドアを開け外に出て行った。
エリックは机の上でふかし終わったタバコの火を消すと吸殻を放置し目の前にあったM36.38SPLをじっと見つけ笑みを浮かべた。
そして、眠りから覚めようとするものたちが動き始めていた・・・・・