第2章

館前の広場に到着したケインとマイク、そして負傷したUBCS隊員は目の前に広がる光景に唖然とした。
そこはまるで豚肉の解体現場のような状況になっていた。
ここで待機していたと思われるD小隊の隊員の死体だろうか。
無残にも引き裂かれ手足がバラバラになり内蔵が抉りだされ臓器が散乱し血の海と化していたのだ。
あまりにも悲惨な状況にマイクの表情が固まる中、ケインはすぐさま左胸に取り付けてあるラジオポーチの中から無線機を取り出すと他の隊へと連絡を取り始める。

「こちらC小隊のケイン・リバー!A小隊B小隊、応答願いたい!」
『こち・・ら・・A小隊・・マーシャ・ホールドで・・どうしま・か?・・』

少し電波が悪いのか会話がところどころ途切れている状態だが何とか話せるようだ。

「C小隊は敵に襲われて俺を含めて2人しか生き残ってない!D小隊は何者かの手によって全滅した!」
『全滅!?・・・』

通信相手であるマーシャという男は突然のことに驚きを隠せない様子であった。

「ああ、そっちの部隊は被害はないのか?」
『今・・ころ被害はありま・・ん・・たった今全フロアとロビーを確保し・・ころです中は荒れた感じで血痕なども見つかっていますが研究員たちの姿が見えません』
「いない?」

ケインは疑問に思いながら出撃前に行ったブリーフィングの内容を思い出していた。
作戦開始時刻は16:00、任務が行われるようになった発端は会社が開発していたウイルスが流出したことが原因だった。
3日前の2月6日、サウスパークシティ郊外にある館の地下研究所からアンブレラ本社より研究員から連絡が入ったのだ。

「ウイルスが漏れた。研究員の何人かは生き残っているが感染者が研究所をうろつき回っている。すでに抗ウイルス剤を散布したからこれ以上の空気感染はないが危険だ。
すぐに対策チームを派遣し館ごとこの建物を爆破してもらいたい・・・・」

これが研究所から送られてきた1つの連絡でこれを機に連絡は途絶えた。
そして、本社がUBCSに与えた任務内容は

1、生き残った研究員の保護
2、研究資料の回収
3、館を含めた施設と地下研究所の爆破

この任務を与えられケインを含めたUBCS隊員はこの館まで派遣されたのだ。
だが、連絡された内容の続きによると生き残った研究員は館の東側居住区で立てこもっているということ。
だったがA小隊のマーシャの話では確保した正面ロビーと東側居住区には誰もいないと言うことだ。
しかも血痕が残っていると言う事は研究員たちの身に何かがあったということではないのだろうか?
森で見たドーベルマンの化け物にでもやられたのだろうか、はたまた別の‘何’かによって殺害されてしまったのか。
ケインの脳裏にいくつもの推測が立てられる。

『とりあえず、ケインさん。こちらの隊長に話をしましたがB小隊がそちらに向かいますので合流したらヘリの着陸を援護してください』
「了解だ」

ケインとマイクは負傷した兵士を担いでとりあえず、館の入り口まで移動することにした。
担ぎながら歩いていると兵士の息遣いがだんだん荒くなり時々吐血し寒い痒いと呟きはじめ2人はそれを宥めながら歩く。
正面入り口へと到着すると同時に入り口のドアが音を立てて開き中からアサルトライフルM4A1で武装したB小隊と思える隊員がドアを開けその隊長と思える人物が腕を上げ前へと振り下ろすと隊員たちは散乱しているD小隊の隊員たちの遺体を速やかに回収し一箇所にまとめていく。
ケインは隊長と思える人物の前で敬礼すると声をかけた。

「C小隊所属のケイン・リバーです。小隊長殿」
「うむ、私はB小隊の指揮を任されているヘンリー・バルヘルントだ。任務ご苦労」

ヘンリーと言うB小隊長は鋭い目つきで自分の部下の行動を見ながら緑のベレー帽を被り直すとマイクが地面に下ろした負傷した隊員を覗き込むように見下ろしながら口を開けマイクにたずねた。

「C小隊はどうした?なにがあった?」
「え〜話せば難しくなるのでありますが野犬に襲われた可能性があります」
「はっきりしない回答だな」
「ヘンリー小隊長殿。そのことで話があります」

マイクの戸惑いを見たケインが話に割り込むように声をかけヘンリーはケインに向き直った。

「なんだ?」
「私のいた小隊は確かに野犬と思われる犬たちに襲われましたが彼らはどこか変でした」
「変と言うと?」
「その・・・外見は腐敗しているようで普通ならあの状態では生きているはずはないんです。生物学的にも明らかに異常でした。それに私の持つM4で攻撃を行いましたが効果がないのかあの犬たちは平然としていました・・・」
「君の見間違いでは?」

ヘンリーは顔に笑みを浮かべながら明らかにケインの話を信じていない様子であったがケインは構わず話を続ける。

「いえ、見間違いではありませんでした。ただの野犬に我々C小隊が壊滅まで追い込まれる分けがありませんですし・・・」
「・・・・確かにな。お前らC小隊は我らUBCSの中でも精鋭部隊ともいえるものだからな」
「それにもう一つ、疑問があります」
「?」
「D小隊のことです。彼らを殺した犯人です」

ケインはB小隊の隊員が回収しているD小隊員の遺体を見ながら考えた。
遺体は鋭い刃物かいわば斧のようなもので体をバラバラにされたものが多い。
しかも相当な力を込めて体を切断したらしく完全に切断されてなかったはずの部分まで

千切れ飛んでいるという感じだった。
そして、何かを引きずったような後が地面に描かれていた。
たぶん隊員をバラバラにした凶器だろうか。
「わからないな。とにかくココには熊より凶暴な‘何か’がいるということだな?」

ケインは静かに頷くとヘンリーは静かにため息をついた。
そして、負傷した隊員を見ていたマイクの元へと駆け寄りケインは負傷した隊員の傷口を見始める。
右腹部の一部はあのドーベルマンに噛み千切られたのか消失しておりそこから大量の血が流れ出ていた。
このまま放置しておくと失血死して死んでしまうだろう。

「ヘンリー小隊長。医療班はどこにいるんですか?」
「ヘリの中だ。死体の回収が終わり次第ヘリを着陸させる」

ヘンリーが話していると向こうからヘンリーの部下の隊員と思える兵士が走ってくるや否やヘンリーの目の前で止まると敬礼をしヘンリーに話しかけてきた。

「サッ!死体の回収、終了いたしました」
「うむ、ご苦労。発炎筒を炊いてヘリを誘導し着陸させろ」
「イエッサー」

〜館前広場 19:25〜

広場に着陸した4機の輸送ヘリから次々と資材や資料館に運び込まれ研究員やスタッフが館に集結する中、ケインとマイクは次の行動に移るためA、B小隊と共に館のロビーの小スペースを使って作戦会議を行っていた。

「D小隊は壊滅。C小隊もほとんどが全滅し生き残ってきたのはたったの3人だ。この先なにがあるか分からないから皆十分気をつけるように」

隊員たちが並ぶ列の先でヘンリーが隊員に呼びかけると続けて言った。

「これより我々はこの館内すべての調査を開始する。目的は研究員の保護と研究資料の回収と爆弾設置ポイントの調査だ。今回、A小隊は北側居住区を調査してもらう。私の隊、B小隊は西側倉庫&資料区を調べる。なお、ケイン・リバー後方支援兵とマイク・へルビースト前方警備兵は私の隊と共に行動してもらう。では、解散!」

ケインはB小隊と共に行動すると聞かされ少し動揺するがすぐにそれを理解し無理やりにでも納得させる。
作戦会議が終わり後ろからマイクが駆け寄ってくるとケインに声をかけてくる。

「なんだかんだで一緒になっちまったな」
「ああ・・・ってかお前、前方警備担当だったのか?」
「まあな。そういうお前も後方支援だったとは・・・顔的に突撃担当かと思ったぜ」

冗談を言い合い2人は微笑するがすぐにその表情は真剣なものへと変わりケインが口を開ける。

「あの犬共がこの館内にいる可能性が高い。気をつけろよ」
「ああ、俺もまだ死にたくないんでね。必死になって生きるよ」

2人はM4A1を抱えながらB小隊が集まる場所へと向かった・・・・・・・・

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