【第二話】

ヨーコの心に巨大な「!?」マークが浮かぶ。
あれだけ、叩かれておきながら全然反応ナシなんて・・・所長って、何者!!??
答えは、ただの鈍感だ。
「やっと、起きたか。」
デネブは目を冷たくする。そして、書類の山に指さした。
「あの山は何!?あんた、またサボッたわね!あれ、昨日までに全部終わらせる分の仕事でしょ!!」
また眠りに落ちようとするジンに、デネブは鬼となる。
「人の話を聞け!!」
「えっ〜これでも、やったよ。」
引き出しから取り出した終了済みの書類はたったの20枚。
「こんのドアホ!!」
だが、ジンは話をそらした。
「それじゃ、本題に入るけど、ヨーコ。」
自分の名を呼ばれ驚いた。
「ハイ!」
「そんなに固くならなくてもイイよ。」
ジンはなだめるように、優しく笑う。それに比べ、彼はまったくと言って愛想がない。
むしろ、過去に何かしらのトラウマがあって、人とはコミュニケーションが取れないんだろう。
それも、事件以前から。
しかし、
「今月からここの護衛を勤めるために、組織から派遣された男が一人いるんだけどヨーコは、そいつのパートナーになってほしいんだ。」
「ハッ!?」
呆然とするデネブ。ヨーコを護衛兵のパートナー!?
「待って!」
デネブは猛烈に反対した。
「ヨーコは科学班よ!実戦班に加える気なの?」
「いや。そこまでは、いかない。ただ、世話係りみたいな簡単な仕事さ。ヨーコは戦闘には、向かない事位は分かっている。」
と、ここでヨーコが落ち込んだ。
「バカ!それは、禁句よ。」
「ゴメン。ヘコまないで・・・」
ヨーコはゆっくりと顔を上げる。
「任せて大丈夫かい?」
「ハイ!」
「彼は寄宿舎にいるから、すぐに行ってくれる?」
「ハイ!!」
ヨーコは慌てて、部屋から退出した。残されたデネブはジンに尋ねた。
「ジン、あんたの事だから信頼はしてるけど、一体何を考えてるの?」
ジンは重いため息をつき、水色の目を鋭くしたデネブを見つめる。
「彼はたぶん、ヨーコとは面識があると思ってね。」
「知り合いみたいな?」
「さあ。さて、もう一眠り・・・」
突然ドサリとたくさんの書類の山が机の上を占領した。
「これを全部、終わらせてからね。」
この後、所長室からはジン・ヒューリーの悲鳴が半日以上も続いたという。

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